「ねことの共生」人と猫が共に幸せに暮らす地域社会へ
那覇市が毎月発行している広報誌「なは市民の友」に、猫問題の件が掲載されていました。猫好き・猫嫌い・猫被害者どこに偏っているわけでもなく良い記事だと思います。
なはねこガイドラインの制定
記事には、那覇市が猫と人間が共生するためのガイドラインを制定したと書かれています。
「人と猫の共生に関するガイドライン(はなねこガイドライン)」
このガイドラインでは「那覇市内にいる全ての猫を”家猫”とする」事を将来的な到達目標としています。
ガイドラインには主に以下の構成になっています。
- 猫に関する基本的な知識、情報
- 飼い猫編
- 野良猫編
- 関係者の役割
言葉の定義に「家猫」が入っていない
ガイドラインではまず言葉の定義をしています。しかし、ガイドラインの目標としている「家猫」の定義がありません。
「家猫」を検索してみるとWikiには以下のように記載されています。
・動物分類学において(ヨーロッパヤマネコの亜種として)家畜種であるイエネコ(学名:Felis silvestris catus)のこと。
・(上記イエネコのうち、野良猫、野猫の対義語として)ペットの飼い猫のこととされるが猫と言う種に野生はいないことから野猫、野良猫も家猫である。
・飼い猫の更に狭義として、自由な外出をさせない完全屋内飼いの猫のこともある。
家猫
他を調べてみると
家庭などで飼われている猫。飼い猫。
「家猫」の意味
上記のように、「家猫」という言葉には様々な意味があります。そして、このガイドラインが目標としている「那覇市内にいる全ての猫を”家猫”とする」の家猫の定義がされていないのでゴールもぶれまくりの玉虫色のガイドラインです。
野良猫をゼロにしたいのか、自由に外出する飼っている猫をゼロにしたいのか・・・
飼い猫
特定の人が、所有または占有※している猫のこと。
※占有:例として普段猫を世話している所有者の同居家族やペットシッターなどが想定。
野良猫
所有者または占有者のいない猫(飼い主のいない猫)全般を指します。
管理
地域で暮らす野良猫の把握に努め、猫が増えないよう計画を立てて避妊去勢手術を実施すること、また猫による糞尿被害や爪とぎ、ゴミ漁りなどが生じないよう対策を講じること。餌を与える場合には、他人に迷惑をかけない方法で行うこと。
地域猫
「地域猫活動」により、地域住民などが合意の下で協力し、管理している野良猫のこと。単に地域にいる野良猫や、耳先をカットされた野良猫とは異なります。
猫の生態
ガイドライン中には猫の生態についても掲載されています。メス猫は生後6ヶ月ほどで発情を迎えます。また猫は交尾により排卵が起きる「交尾排卵動物」であり、繁殖の成功率が高いことが紹介されています。
1回の出産で8匹の子猫を産む事があります。那覇市のように日照時間が長く温暖な気候では繁殖期のみではなく年中繁殖が可能とのことです。
避妊去勢手術などの繁殖制限を行わず、何も考えずにただ世話をしていると、1年後には20匹以上、2年後には80匹以上、3年後には2,000匹以上の猫になってしまう可能性も書かれています。
しかし、現実問題その地域に2,000匹などの猫はいないと思います。子猫として生まれても餌が足りない、交通事故などで死んでしまっているのだと思います。
無責任に野良猫に餌やりをしている人も全猫に餌を与え続けることはできません。そして、こういう不幸な野良猫を増やしているわけです。
また猫の病気に関しても掲載されています。また、猫から人間に感染る感染症も紹介されています。
飼い猫について
猫を飼い始める前にもう一度考えて欲しい事が書かれています。
- 猫を飼える環境なのか?
- 世話をすることができるのか?
- 経済的な負担は大丈夫なのか?
- 世話をする体力は大丈夫なのか?
- 家族の同意を得ているのか?
飼い始めた猫は最後まできちんと世話をする責任があります。病気や水や餌、ストレスなど責任を持って世話をするべきと書かれています。
そして、「完全室内飼育のすすめ」が掲載されています。病気や自己、排泄・爪とぎなどのトラブルがあるので室内飼育を進めています。
飼い猫が外を散歩しないとストレスが溜まるような環境は猫を飼育する充分な環境ではないので猫を飼うべきでは無いということです。
野良猫について
- 野良猫がかわいい・かわいそうだから餌を与える
- 野良猫による糞尿、爪とぎ、ゴミ漁り、餌の放置などで困ってる
という、長年平行線な問題(トラブル)についても書かれています。
野良猫に無責任に餌やりすることでかわいそうな猫が増えてしまうし、野良猫を排除することは命の問題で不適切。ということが書かれています。
そして「餌やりを禁止しても野良猫はいなくならない」という色んなところで見る理屈が書かれています。餌やりを辞めても餌やりするエリアに移動するだけという理屈です。
確かに仰る通りなのですが、逆を言うと「餌やりをしていると他所の餌が足りないエリアの猫も着てしまう」ということです。
餌やりをしている人は、自分が餌やりする猫を把握しその猫にだけ餌やりをしているのでしょうか?そんな事はしていないので、餌やりを続ける限り野良猫は増えます。不妊手術を施していない野良猫に餌やりをしているなら、子猫が生まれ更に増えます。
野良猫に餌を与える場合のマナー
野良猫に餌やりを与える場合のマナーが以下のように書かれています。
- 餌場周辺の住民などに活動について説明すること。
- 餌は決まった場所・時間のみで与えること。
※餌場は自身で所有するか許可を得られた場所にしましょう。
※地域の迷惑となる深夜・早朝の時間帯は避けましょう。 - 餌の容器などに入れて与えること。また、餌やり前後に餌場周辺の食べ残しや猫の排泄物などの清掃を行うこと。食べ終わるまで見守り、餌を放置(置き餌)しないこと。
- 猫が増えないよう、契約を立てて避妊去勢手術を施すこと。
- その他地域住民などからの要望には誠意をもって対応すること。
どこを見ても上記のような事が書かれているのですが、周りの迷惑を考えて活動している人なんて未だ見たことがありません。「自分は可愛そうな猫を救っている」という正義感で動いているわけですから周りの迷惑だ!という主張をする人なんて「悪」としか考えていないと思います。
野良猫に餌やりをする人は
- どの猫に餌を与えるのか把握する(報告する)
- 餌やりは自分の敷地で行う。
- 地域で餌やりが重複していないか密に連絡をとり情報を共有する。
- 自分が普段餌やりをしている猫以外の猫が来てしまった場合、どのように対応するのか取り決めする。
- エリア毎に餌やり活動をする人の責任者を取り決める。
のように、しっかり責任を持って対応してもらう必要があるのではないでしょうか?
那覇市環境部 環境衛生課からの返信
2023/04/04 家猫という言葉には複数の意味があり、「読んだら分かるよね?」的なあやふやなものではトラブルの元とメールを送りました。
2023年4月12日 メールの返信が届きましたので転載します。
お問い合わせいただいた件につきまして、ご返信が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
さて、本ガイドラインにおきましては、**様にもご指摘いただきました通り、「家猫(いえねこ)」を「室内のみで飼育(完全室内飼育)されている猫」として使用しています。
ご意見をいただきました言葉の定義につきましては、今後のガイドライン運用状況を鑑み、内容を見直す際の参考とさせていただきたいと考えております。
この度は、貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。
今後とも本市の動物愛護管理行政へのご理解ご協力を何卒よろしくお願いいたします。那覇市環境部 環境衛生課
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